Skip to content
戻る

ストックホルム旅行④

作成日:

Granero Bakery

郊外と書いたが、改めてマップ上で見てみたら言うほど郊外ではなかった。ストックホルム中央駅から電車で10分ほどのところにRopstenという駅がある。そこから15分ほど歩いた場所でGranero Bakeryは営んでいる。

ストックホルムの情報を探していた時に、現地に住んでいる日本人の方のブログで絶賛されているのを見つけた。中心街はどうせどこも激混みだろうと思ったので、少し離れているこちらのベーカリーに行ってみることにした。

お店は赤煉瓦の建物の一部で、どこかハンブルクを彷彿とさせる。日本だったら横浜赤レンガ倉庫だろうか。行ったことないけど。

view

お店の入り口。手前の木がクリスマスの時期に綺麗にデコレーションされることは想像に難くない。

entrance

お店の前で写真を撮っていたら、マイスターと思わしき男性が手招きしてくれた。店内は華美な装飾はなく、ナチュラルでとても居心地の良い空間だ。藁か何かで作られた証明のカバーが煉瓦の壁にとても良く合っている。ベーカリーに来たのだからパンが並んでいる写真を撮りたかったが、忘れた。

vibes

カウンターで注文し会計を済ませ、その場でドリンクとパンを受け取って席に向かう。今回は豆乳のカプチーノとシナモンパン、そしてクリーンパンらしきものをオーダーした。スウェーデンはシナモンパンで有名なので絶対注文すると決めていた。クリームパンは見た目が美味しそうだったので頼んでみた。Solbullar(ソールブッラル)という名前で、おひさまパンという意味らしい。お月さまパンもあるんだろうか。

breads

パンは両方ともとても美味しかった。特にその場で選んだSolbullarは一口食べて顔がにやけた。ふわふわな生地にはカルダモンが入っているらしく、ほのかな辛みがあるが、それがクリームに絶妙に合っていた。おそらく相当な量のカロリーを含んでいると思われる。パン2つとは思えないほど満腹になった。

店内は1人で来ているお客さんが多く、静かで長居できた。スウェーデンの人はドイツの人と比べて声量が小さいように思う。そういうところも自分に合っていた。

ベーカリーを出た帰り道に見たこの赤のプレートのようなものは自転車やスクーターのチェーンをかけるためのものだった。まるで美術館のオブジェのようで、街全体が綺麗にデザインされていると言われる北欧そのものだと思った。

parking

北欧博物館

その後宿で少し休憩し、北欧博物館に向かうことにした。この道のりが想像以上に大変で時間がかかった。道のりというか、そもそも電車が来なかった。どうやら線路の工事やデモなどが重なって、時刻表がめちゃくちゃになっているようだった。電車やバスが待っても来ない、来ても満員で入れないなど、散々な目にあった。ドイツも公共交通機関は良しも悪しくも噂通りではあるが、月58€で全国乗り放題のDeutschland-Ticketはとても気に入っているので、遅れてもあまり気にならない。長距離列車でたまに2時間ぐらい遅れることがあるのは勘弁してほしいが。

予定よりだいぶ遅れて博物館に到着した。2日目に行ったVasa博物館のすぐ近くにある。

そこから2時間ほど時間をかけて博物館を回ったが、あまりに疲れていて正直覚えてない。キーブレードのような鍵を見つけて(本当にそれぐらいの大きさ)写真を撮ったが、何の鍵だっかは分からない。誰か知ってたら教えてください。

key blade

後は16世紀頃は本気で魔術が信じられていて、まじないをびっしり書いた札などが狩に行く男性に渡されたりしていた。人を襲う獣を追い払うためだ。

この博物館に期待していたのは、北欧特有のデザインがどういった経緯で形作られていったのかを知りたかったからだが、そういった部分は取り上げられていなかった。ただ、他の国よりも社会福祉をいち早く整備していった歴史は面白かった。

例えば1930年代、スウェーデンとフィンランドはヨーロッパで最も住宅環境が悪い国だった。住宅不足と年の過密化が深刻な社会問題となり、子供がいる家庭でもワンルームのアパートに住むのが普通だった。しかも水道や電気も無い状態で。どう暮らしていたのか想像がつかない。ワンルームなんて2人で住むのも大変なのに(経験談)。

このような状況を打破すべく、政府が国家資金を使って建築家や社会工学者と連携し、公営住宅の建設に乗り出した。明るく衛生的で装飾のない実用的な住まいが理想とされ、空間の整理、特に台所と居住・就寝空間の分離が重視された。シャンデリアや派手な家具、無駄な装飾は徹底的に排除された。北欧は自然なミニマリズムが根付いている印象だけど、もしかしたらこの時の政策が影響しているのかもしれない。政府と市民の連携による社会改革がスウェーデンを世界有数の福祉国家へと成長させた。

また、第二次世界大戦時にはアメリカと上手く交渉し中立を保つことに成功したことも国家の発展に大きく寄与した。戦争で都市や工場が破壊されることもなく戦後すぐに経済活動を再開できた。戦争による徴兵や民間人の大規模な死傷を回避したため、労働力と知識層が温存されたことも大きい。長期的な計画を立て、物事を慎重に進めて着実に発展させる力こそが、スウェーデンという国の強さなのかもしれない。

博物館自体は期待していものとは違ったが、学ぶことが多く、北欧の他の国々にもさらに興味が湧いた。デンマークやフィンランド、ノルウェーにも行ってみたいな。

サンセット

翌日は帰宅するので、本日がストックホルムで過ごす最後の夜になる。せっかく天気が良いので、サンセットを見に行くことにした。ストックホルムには有名なスポットがある。それがこちら、Skinnarviksberget(読めない)。

Zinkensdamm駅で降りて歩くこと数分、丘のような場所に辿り着く。高校生ぐらいの子達がたくさんいた。それなりの居心地の悪さを感じつつも奥に向かうと、川の向こうに夕陽が綺麗に見える場所が見つかった。

sunset

上の写真はその丘で最初に撮ったものだが、結局それが一番よく撮れていた。この後は太陽に雲がかかってしまって見えなくなった。残念に思いつつもしばらくぼんやりと座っていると、どこからともなく気球が現れた。

baloon

歓声と共にたくさんのスマホのカメラを向けられながら、その気球は街の方へゆっくりと消えていった。ストックホルムの街並みは空からどのように映るんだろうか。興味はあるが、いつからか高いところが怖いと思うようになったので気球は乗れないかもしれない。昔はパラグライダーでもバンジージャンプでも出来たのに。

時刻は22時前になっていた。もう夕日は見えなそうなので帰ることにした。この丘には来られて良かった。綺麗な景色を見ながらのんびり過ごす時間は自分にとって必要なものだと感じる。公園でぼーっとするのも好きだし。日本に住んでいてヨーロッパに旅行するとなると、1分たりとも無駄に出来ない気がして予定を詰めすぎて疲れ切ってしまうことがある。ドイツに住みながらストックホルムに旅行に来てもまたいつでも来られるので、変なプレッシャーが無く自分のペースで楽しめるのが嬉しい。

明日は帰国日だ。帰国と言っても飛行機で2時間弱だが。チェックアウトの用意をできるところまで進めた後、部屋の電気を消した。


記事を共有する:

前の記事
ストックホルム旅行③
次の記事
ストックホルム旅行⑤